「失明:失明とは何か 失明により何が起こるか 失明に対して何をすべきか」
視覚障害の専門家にも一般の人々にも推奨される本
この本は中途失明の特性や対応方法を総合的に明確に記述されていて、専門家だけでなく視覚障害(者)に関心を持つ一般の人々にも推奨されます。
キャロル神父は人生の途中で失明する問題に重点を置き、主な喪失、回復の方法、特定の視覚障害者グループの問題などを詳しく説明しています。
視覚障害を負っても人格の基本構造は変わらない
本の中で強調される考え方は人の不滅性や連続性です。
彼は中途失明を人格の一時的な中断と捉えており晴眼者である人が死んでも人格の基本構造は変わらないと主張しています。
彼のメッセージの核心は中途失明による人格への影響やリハビリテーションは専門家チームの協力の下で行うべきだということです。
特に「総合リハビリテーションセンター」での取り組みを推奨しています。
出版から60年余りを経た著作ですが、いまだに中途視覚障害の理解の入門書として専門家の著作や講義でよく引用されています。
注:THOMAS J.CARROLL(トマス・キャロル神父)は1961年にこの著書を出版しました。
彼はカソリックの神父で、初めての職務は設立間もないCatholic Guild for the Blindの副理事長として視覚障害者を支援することでした。
彼はその後、パーキンス盲学校(Perkins School for the Blind)や戦争で失明した軍人のための陸軍病院のチャプレンとしても活動しました。
戦争後、キャロル神父は軍人病院で学んだ知識を生かして民間の中途視覚障害者のリハビリテーション活動を開始し、1950年代には地域に住む視覚障害者のための歩行訓練やリハビリテーション施設の設立に取り組みました。
そして歩行訓練の専門家養成の必要性を強調し、ボストンカレッジ(1960年)やウェスタンミシガン大学(1961年)のプログラム開設に貢献しました。
Boston, Little Brown and Company, 1961. 250頁
「失明」 監修:松本 征ニ 訳:樋口 正純 発行者:社会福祉法人 日本盲人福祉委員会. 1977. 222頁