「視覚障がいの歩行の科学 ー安全で安心なひとり歩きをめざしてー」

大倉元宏 清水美知子 田内雅規 村上琢磨【共著】 

ジーンズと革靴を履いて石畳を歩いている人の足元の写真。

この本は視覚障がいのある人が一人で歩行することについての分析と,そのための空間認知歩行移動についてわかりやすく解説されています。

福祉系介護系医療系理工系を専攻する学生ガイドヘルパー介護・福祉関係の実務家、医師看護師行政官ボランティアの方々を念頭に書かれています。

 本書では視覚障がい者のOMに科学的にアプローチする。ここで科学的とは、できうる限り客観的資料に基づいて議論するという意味合いを込めている。 まず、第2章において、OMの本質についてできるだけやさしく解説する。 そして、OMの困難さを克服するには、訓練、エイド (歩行補助具) の利用、および移動環境の整備が必須であることを明らかにする。それを受けて、第3章では OM訓練について解説する。 OM 訓練のプログラムは経験の積み上げと科学的知見に基づいて組み立てられるべきであり、 そのような訓練を受けることがOM の困難さを克服するために必須といえる。 OM訓練にはエイドの使い方も含まれる。第4章において、オリエンテーションエイドとして各種地図とGPS、モビリティエイドとして白杖、 盲導犬、および電子式歩行補助具を取り上げる。 それぞれは重要な役割を担っているが、同時に限界もあることを理解しておく必要がある。 エイドの利用も含めて OM 技術を習得したとしても、市街地の交通環境は複雑で、簡単に一人で歩けるものではないため移動環境も整備していく必要がある。第5章において、代表的な移動支援設備である、視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)、音響信号機、およびエスコートゾーンを、沿革を含めて詳しく解説する。OM技術を身につけ、支援設備が整備されたとしても、なお、移動時のリスクは完全に解消できない。 最後の第6章では,視覚障がいの歩行における特性を説明し、道路横断と駅プラットホーム移動時のリスクとの関連を解説する。

「第1章 1.6 本書の構成」より引用

本書の構成は、「第1章 人はなぜ移動するのか」「第2章 オリエンテーションとモビリティ」「第3章 OM訓練」「第4章 オリエンテーションとモビリティのためのエイド」「第5章 移動を支援する環境」「第6章 移動環境とリスク」となっており、共著者らの長年の経験と深い知見から、各章に詳細に書かれています。

人間工学、福祉工学、交通工学、土木工学、都市計画関連の研究者、技術者の方には視覚障がいのユーザーを知るというものづくりの原点に立ち返るきっかけになるのではないでしょうか。

そして視覚障がいのユーザーの歩行移動を理解したうえで、街やものが作られることで、視覚障がいのある人もない人も暮らしやすくなっていくのではないでしょうか。

なお、本書には視覚障がいの方にも自身の歩行を客観的に見直すきっかけに読んでいただきたいという意図により本文テキストデータと本書PDFデータを収めたCD-ROMが付属しています。

コロナ社(2014)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次