道路の現状と課題

商店街の店の前に看板や自転車が乱雑に置かれているモノクロ写真。

歩道を観察すると、その中央部分が比較的空いている一方で、歩道の端、すなわち建物側と車道側は多様な障害物が散在しています。

電柱、植栽、駐輪された自転車、商店のディスプレイ、自動販売機などです。

これらの一部は道路設備として必要なものもありますが、多くは原則としてその場所に置かれるべきではないものも含まれています。

視覚障害者にとって道の端は進行方向を示す重要な手がかりとなりますが、歩道の端が物によって占有されていると

中央部分を歩く以外に選択肢がなくなります。

しかし中央部分には明確な方向の手がかりが乏しく、進路が安定しません

交通弱者にとって安全とは言えない道路の現状

近年、「自転車通行可」の歩道が増え、歩行者と自転車が歩道を共有する光景が一般的になりました。

また、電動スクーターの歩道内走行も認められています。

現在の歩道には、歩行者、車椅子利用者、自転車、スクーターなど、異なる移動形態が混在しています。

法律上は歩行者が優先されるべきですが、実際のところ自転車やスクーターが歩行者の横をすり抜ける光景も珍しくありません。

一部の歩道で試みられている、歩行者と他の移動形態との通行区分帯設置も、多くの場合、路面表示のみであり

区分帯の遵守各人の良識に依存しています。

特に、子ども、高齢者、障害のある人々など、交通弱者にとっては十分に安全とは言えない環境です。

植え込みと白線に挟まれた狭い路側帯のある道路のモノクロ写真。路側帯のすぐ横の車道を並行して一台の車が走行している。

道路統計年報2021によると、日本の道路の約半分に歩道はありません

歩道のない道路での歩行者は、自動車が至近距離を通過する中を歩くことを余儀なくされます。

道路交通法によれば、歩道と車道が明確に区別されていない道路では、歩行者は道路の右側を歩くことが定められています。

ここでは、自動車と歩行者がお互いを認識し合いながら通行することを前提としています。

また、路側帯がある道路では、歩行者は右または左側を選んで歩くことができ、どちらを選ぶかは歩行者自身に委ねられています。

視認可能な白線が存在すれば、自身の視覚機能にとって辿りやすい側を歩く選択もあります。

しかし、歩道のない道路の端は側溝や段差などの障害物が多く、視覚障害者には厄介な環境です。

自転車は視覚障害者にとって大きな危険要因

視覚障害者と自転車との間の問題は以前から存在します。

無音で迅速に動く自転車は視覚障害者にとって検知が難しく、大きな危険要因です。

自転車に乗る人は、視覚障害者がいる場合、特に後方から接近する際には十分な配慮が必要です。

日本は長らく自動車の走行を優先する道路環境整備を進めてきましたが、それが歩行環境の犠牲になっている側面も否めません。

車道から歩道へ避難する自転車が、逆に歩行者を危険にさらしているとも考えられます。

この問題に対する一つのアプローチとして、自動車の移動空間の見直し、移動空間全体を根本から再構築する必要があるのかもしれません。

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