公衆電話・固定電話からスマートフォンへ 必要な習得スキルの変遷
私たちの生活は時代とともに進化してきました。
現代ではスマートフォンは我々の手放せない道具となり、文字入力技術は日常の必須スキルとなっています。
一方で、公衆電話や固定電話の役割は減少し、若い世代の中にはこれらの使い方を知らない人が増えているのが現状です。
視覚障害者の生活技術もまた、時代の変遷と共に変わってきました。
スマートフォンが普及する前、彼らが依存していた連絡手段は公衆電話や家庭の電話でした。
視覚に制限がある中での操作は、点字での番号読取りや、正確なボタン操作あるいはダイアルの回転など、独自の技術を要求されました。
タバコに火をつけるスキルは自立への一歩
過去には、タバコの健康リスクに対する認識は低く、タバコは日常の一部として広く受け入れられていました。
大学の講義ホールにおいても、学生から教員までが喫煙する姿は一般的でした。
視覚障害を持つ愛煙家にとって、タバコに火をつける技術は失明直後の習得スキルとして極めて重要でした。
特にマッチが主流だった頃は、マッチの火をタバコに正確に当てる技術が求められました。
マッチを擦り、火のついたマッチ棒を口にくわえたタバコにそわせて先端まで動かし、そこでタバコの先端とマッチ棒の火の位置を合わせ、息を吸い込む…。
4cmほどしかないマッチ棒の火が指先に届く前に着火しないといけない。
火がタバコの先端ではなく中程に着火してしまうこともありました。
それでも多くの愛煙家がこの動作を成功させていました。
ときに指先を火傷したり、衣服に焦げ跡を作ることもありましたが、愛煙家にとって自分で火をつける技術を習得することは自立への一歩でした。