街歩きに必要な「安全な歩行空間」
街を安全に歩くことは誰にとっても重要ですが、とくに視覚障害のある人にとっては、その重要性が増します。
彼らにとって、バス停までの道のりや近所のコンビニへの移動、通院や通勤、徒歩移動は自立を維持するために不可欠です。
安全な歩行空間が確保されていない場合、視覚障害のある人の多くは外出を避けたり、ガイドやタクシーを利用せざるを得なくなります。
日本の歩道設置率は約46%
道路統計年報2021によれば、日本の歩道設置率は約46%であり、東京都23区内では約81%です。
明確な縁石で車道と仕切られた歩道は、歩行者に安全な歩行空間を提供します。
しかし、日本の道路の半分には歩道が設置されておらず、多くの人が車道を歩くことが日常となっています。
これらの道路上では、道路の端にある電柱や側溝、駐車した車両/自転車や商店の看板などの障害物を避けつつ、
車両からの安全を確保しながら歩く必要があります。
歩道がある場所でも、狭い歩道や散在する障害物、自転車や電気スクーターの走行など、歩行者が避けるべき要素は多く存在しています。
自転車や電気スクータとの接触を避けるため、歩道内に通行区分帯を設ける取り組みもありますが、
視覚障害のある人にとって、これらの区分を認識するのは難しく、現状の対策は十分ではありません。
視覚障害者にとって安全な歩道を提供するための提案
・人と軽車両の交通を分離し、可能な限り歩行者専用の道を設ける。ここには車椅子利用者やシニアカーの使用者も含まれる。
・建物や縁石沿いに物を置かないようにする。
・違法駐輪を排除する。
視覚障害のある人々のニーズを別個のグループとして認識し、それを支持するための取り組みが必要です。
歩行者のニーズを他の交通手段(例:自転車や電気スクーター)のニーズと合わせると、
適切な対応を妨げることがあります。
歩行者を優先する考え方は正しい方向への一歩ですが、それを具体的な道路設計や都市計画に反映させることが重要です。