
単眼鏡とは
単眼鏡(単眼望遠鏡)とは、中間距離から遠距離にある対象物を拡大し、その像を網膜上に投影する光学機器です。
これにより、使用者は遠方の対象物を詳細に見ることができます。
単眼鏡にはケプラー式とガリレイ式があります。
ケプラー式は対物レンズと接眼レンズが共に凸レンズで筒の長さが長く、低倍率から高倍率まであります。
ガリレイ式の対物レンズは凸レンズ、接眼レンズは凹レンズで低倍率のものが多く形態はコンパクトです。
単眼鏡を逆に使用すると視界が縮小されますが、視野の狭い人にとっては、対象物を特定しやすくなることがあります。
様々な倍率のものがありますが、自分の視力と対象物に合わせて倍率を選びます。
単眼鏡の使用場面
単眼鏡を効果的に使用するには、ある程度の中心視力とスキャニングやトラッキングの技術が必要です。
単眼鏡は、
- 信号機の色の識別
- 道路や交差点形状の把握
- 障害物の回避
- 家並や屋根の輪郭などを含むガイドラインの追跡
- 交通標識の確認
- 目的地やランドマークの確認
- バスや電車の行き先表示の読み取り
など、多岐にわたる場面で役立ち、不慣れな環境や広い空間での探索においても有効です。
単眼鏡の使用方法
目、単眼鏡の軸、対象物の一直線配置
効果的に使用するには、まず、「目」、「単眼鏡の軸」、「対象物」を一直線上に配置することが必要です。
配置が一直線上にないと、視界が暗くなり対象物がよく見えません。
見たいところが見えにくい中心暗点と呼ばれる見え方の場合、
偏心視(目の中心以外の部分を使用して見ること)を利用して対象を見ることがあります。
正しい位置で単眼鏡を保持する練習には、暗い部屋で光を単眼鏡に向け、
その光を捉えるように単眼鏡を動かして位置を調整する方法が有効です。
フォーカシング
対象物、単眼鏡を最短焦点距離に設定し、対象物が近くにある場合は最長焦点距離に設定します。
練習を重ねることで、対象物の距離に応じた適切な焦点距離に素早く合わせることができるようになります。
予備焦点が設定されたら、対象物に視線を固定し、そのあとで単眼鏡を眼の前に持ってきます。
対象物が単眼鏡を通して視界に入ったら、焦点を細かく調整します。
まず、対象物の像がクリアに見えるまで焦点を合わせ、次にさらに鮮明になるかどうかを微調整します。
スポッティング
スポッティングの技術は、特定の目標(例:信号機や道路標識)を見つける能力を含みます。
複雑な背景の中で目標物を見つけ出すためには、系統的なスキャンパターンが必要です。
スポッティングを指導する際には、まず目標物の方向を単眼鏡なしで視認させ、
その後、単眼鏡を眼に合わせて目標物と一直線上になるように指示します。
目標物のおおまかな方向を特定したら、系統的な探索パターンを用いて目標を探します。
これには円形パターンや格子状パターンがあり、
円形パターンでは、使用者は単眼鏡を小さな円運動で動かし、徐々に円を大きくして目標物を見つけます。
格子状パターンでは、使用者は視線を目標物のあると思われる範囲を横切るように水平スキャンし、
スキャンごとに視線を少しずつ上または下にシフトします。
目標物が水平方向のスキャンで見つからない場合は、視線を上下に動かして想定範囲を再探索します。
どちらのパターンを採用する場合でも、目標物がスキャンのストローク間で見落されないように、
スキャン範囲が重なる「ストローク」を使うことが重要です。
トレーシング
交通標識、家の屋根の輪郭、ドアの端など、環境内の線状の特徴や物体の形状を単眼鏡を使用してたどる技術です。
これにより、複雑な環境を単純化し、方向を定めるのに必要な標識や目印を見つけるのに役立ちます。
トラッキング
使用者が静止している場合に動いている対象物(例:バス)に焦点を合わせ続ける、
または使用者が移動している間(車に乗っている時など)に
静止している対象物(建物など)に焦点を合わせ続ける技術です。
安全上の理由から、歩いている時に単眼鏡を使うことはできません。
何かを見る時には一時停止し、見終わった後に移動を再開します。
手ブレの軽減方法
単眼鏡は、対象物を拡大すると同時に手の振れも拡大するため、
高倍率の単眼鏡を使用する際には手ブレが問題となることがあります。
手ブレを減らすためには、
- 単眼鏡を持つ手を反対の手で支えて安定させる
- 腕を胴体に密着させる
- 固定物を利用する
- 単眼鏡を持つ腕の肘を反対の手で胴体に固定する
などの方法が有効です。
これらの技術を習得することで、単眼鏡の使用時に手ブレによる影響を大幅に軽減し、
クリアで安定した視界を得ることができます。
効率的な観察や読み取りのために、これらの基本的な使用方法と技術の習得が重要です。
外出時の安心材料に
O&M(オリエンテーションとモビリティ)の支援機器としての単眼鏡の使い方を紹介しました。
単眼鏡は、視覚障害を持つ人々が遠くの対象物を拡大して見ることを可能にするツールです。
外出の際、目的地までたどり着けず、道行く人に援助を依頼することもあるでしょう。
でももし、誰も近くに依頼できる人がいなかったら・・・
今回紹介した単眼鏡の技術を身につければ、自力で何かの手がかりを見つけることができるかもしれません。
かばんに入れておけば、安心材料の一つになるでしょう。