ロングケインを使用したOM訓練を導入
1960年頃、世界各国のOM訓練に関する調査を行っていたNottingham Universityの心理学者Alfred Leonard は、アメリカで行われていたロングケインを使用したOM訓練の取り組みを知り、その視察のため渡米しました。
この取り組みに感銘を受けた彼は、英国への導入を決意し帰国。
彼はNuffield財団 から補助金を得て、すでに日常生活訓練士の養成プログラムがあったUniversity of Central England (現Birmingham City University)に新しい訓練校を設立するための事業に着手しました。
Mobility officerの養成
この事業にはRoyal National Institute for the Blind(RNIB, 現Royal National Institute of Blind People), Birmingham Royal Institute for the Blind(BRIB), およびSt. Dunstan’sの支援がありました。
さらに、視覚障害当事者で個人でアメリカに渡りロングケインを使用したOM訓練を受けて帰国していたバーミンガム在住のWalter Thornton氏も加わりました。(Dodds & Howarth, 1995)
1964年、St.Dunstan’s, BRIB, 及びRNIBの三者が共同でMidland Mobility Center (MMC)を開設し、Mobility officerの養成を始めました。
2年後にはWestern Michigan UniversityからSuterko氏を招聘し、養成プログラムを完成させました。
養成施設と研究施設の協力で行われたOM訓練士の養成
英国のOM訓練士養成の特徴の一つは、養成施設であるNational Mobility Center(1966年にMMCから改称)と研究施設であるNottingham UniversityのBlind Mobility Research Unit (BMRU) が協力してOM訓練士の養成にあたったことです。
訓練士の認定もNMC と協力してBMRUによって行われました。BMRUは30年間の活動でOMに関連する多くの成果を残しましたが、運営資金の支援が途絶え、新たな財源を見つけられずに閉鎖を余儀なくされました。
Rehabilitation Workerの発展
1988年には、Mobility officerとTechnical workerを統合してRehabilitation Worker とし、その資格レベルを準学士資格に設定し、大学での養成が始まりました。
2000年以降はBirmingham City Universityが唯一の養成機関となっています。
また、これは見習い訓練制度に指定されている職業でもあるため、現場で働きながら資格を取得することも可能です。
2022年には職能団体であるRehabilitation Workers Professional Networkの会員登録簿がProfessional Standard Authority(PSA) for health and social careによって認定されました。